戦前復刻半襦袢(衿芯・衣紋抜き付)

こんにちは、まゆナベです

このページではオリジナル商品の使い方・歴史紹介をしています

それではおはじめしましょう♪

消える半衿柄のみせどころ

なんか違う・・・・

きれいに着つけた衿元も、戦前の装いに憧れ始めた私には窮屈そうに見えました

「だらしないわけでもない、あの独特な衿元はどうしたら作れるの?」

それから私は熱心に衿について調べ始めました

着付けを変えてみる

中着の着付け方がわからなかった頃

むかしの着付けを調べ始めたころ、かつて「豆千代」さんの本に出会い、着物生活を始めた時くらいの楽しい日々が始まったのでした。

おもしろい当時の着方は、どんどん私の着姿を巻き戻していってくれました。

しかし、衿だけはどうしても「なんか違う…」

ダメージの激しいアンティーク襦袢の蒐集

古書だけでは足りず、どんどん実物を蒐集するようになりました

きっと誰もが触るのもためらうダメージの激しいモノばかり。

それには私なりの信念がありました。

「着心地の良い襦袢は、汗ジミや擦れるほど着倒したはず」

その仮説から私は可愛くて汚い襦袢を熱心に、

なにかに憑りつかれたように全国探しまわりました。

どんどん衿元が理想に近づいていくのは本当に楽しかったのです。

毎日着て、毎日着崩れていく。

あーでもない、こーでもない、の繰り返し。

その日々から、私は「着崩れない着付け」から解放され始めていきました。

コーリンベルトで綺麗に着るのが好きだったんです。

でも自分が好きな着物は昭和の着物ばかり。

弱った生地にピンを張った衿元が、

歴史着付けを教えることを生業とする私には

すこし違和感を感じるようになりました。

その経験はのちに、ピンと張った方が恰好いい着物もあることを知るきっかけにもなり、

洋装のように和装も装いにあわせて着つけた方が面白いという考えになるのでした。

衣紋抜きとの出逢い

▲戦後の生地で見逃しそうだが、作りは戦前仕様。元持ち主さまに伺うと、祖母様が作ってくれたものだそう。

衣紋抜き・衿芯が私にとって最大の発見でした

「衣紋抜き」というモノを鬱陶しく感じていたのですが

一枚の襦袢に出会い、私の考えは180度変わりました。

衣紋抜きは、手ぬぐいを縦に裂いたもの

この面白い発見は目からうろこ!!!!

当然とてつもなく長い。

当時の衣紋抜きたちは着た後も、後ろから容易に引っ張れる構造でした。

当時和式トイレが多かったのに、お手洗い大丈夫?と思いましたが、

手ぬぐいペライチなもんで、基本的に襦袢なり着物なり、他の布に張り付いてます。笑

それからロックミシンのない家庭での端の始末と、綿テープ使いは現在の製品にも採用しています。

▲これは極薄な綿テープを二つ折りしたものを突き合わせ、ジグザグに縫った衣紋抜き。

端の始末もよいですねェ♪

現行製品はもう少し厚みがあるので、一枚をジグザグ縫いにしています。

ここで一つ、仮説が増えました。

「あれ?衿も本体も全部手ぬぐいサイズなんじゃないの?」と。

手ぬぐいポテンシャル

これが大正解!!

買取先で、手作りの手ぬぐい襦袢はどんどん出てくるのでした。

手ぬぐいのよさは、なんといっても通気性。

独特なカラッと乾く感覚は最高!

昨今の暑い夏には「暑い!」と感じる人も多いと思います。

けれども私は長年多汗に悩んできたので、

手ぬぐいから「汗はかくと気持ちいんだな♪」ということを教わりました。

ですから私は毎年夏は大量の汗を気持ちよく流しながら着物ライフを送っています。笑

もうひとつ、手ぬぐいの持つよいところ。

それは端です↓

手ぬぐいはそのままでいいんです。

ですから私のオリジナル戦前復刻反襦袢の端に縫い目はありません。

だから軽快さが増すし、乾きも早い。

そこで再現したモノをつくるならば、晒で作ろう!と思いました。

それは庶民が着古した絹襦袢の胴を切り離し、

晒の反襦袢に縫い合わせて再生していた歴史をしたのもあります。

▲これは再現した試作品。汗ばむ・汚れる箇所は晒・身丈稼ぎも出来るという発想

衿芯との出逢い

衿芯が違う。これは和紙が衿芯だと思い込んでいた私にとって

驚きでした。

衿の疑問がわいたのは、半衿オーダーを受ける中で

一番多かった意見です。

「柄が出ないから、柄の位置を下げるか長くしてほしい」

これはずっと疑問でした。

なぜなら当時の半衿寸法を真似ているのに、

どうして当時のように出ないんだろう??と。

そこで気が付いたのが衣紋の抜き加減でした。

昔だって衣紋は抜いているんです。

しかし着付けが一辺倒でないため、髪形によって変えていたのです。

そしてどの着付けでも、柄が出るのでした。

衿芯の内臓された襦袢に出会い、衿芯自体が特殊カーブしていて、半衿はそれをガイドラインに縫い付けるだけ。

羽織るだけでバシっと出したい柄がでるし、たっぷり半衿になり、自然と控えめに衣紋が抜けた風貌になる仕組み。

▲刺繍が出ない半衿

これは実在した本物の襦袢に着けている実験画像。しかしこれ一枚だけでは「単なる誰かの思い付きアンティーク」です。

これがもしも普及していたならば、いくら劣化するからと言いえ、あと数枚は出てくるはず。そう思い、貪欲に別の地域から探しました。

余談ですが、あらゆるところから、可愛くて着倒した襦袢を集めた。これらは研究が終わると、

洗濯実験や裁縫(修復)の研究資料になり、アーレー紐などに作り替え、また世に戻す循環活動をしています。

襦袢の再現復刻

これを発売したことは、心底達成感でした。もっともっと工夫して当時の続きを作っていきたいなと思います♪

▲写真右側の衿。線が入っている位置が元々の ばち衿端。ずいぶん広いのがわかる

▲2019~2020年。はじめて自分で再現復刻した実験。もう2025年になったのか…早いな…笑

ぜひ一度、羽織るだけで昔の着姿、着心地体験、してみませんか?

それではまた♪

襦袢